2018.08.09
コラムVol.96『タイムループしてきたトレンド』
- Category FASHION
「そもそもティアードとは」
「ティアード」とは、英語のティアー(tier)からで、「段々に積んだ、重ねた」という意味。ファッション界においては、フリルやラッフルを段々状に重ねたディテールのことを指している。シンプルなスタイルに代わって、装飾性がメインストリームに躍り出るなか、ここ数年で一気に広がりを見せている。ティアードと一口に言っても幅の広い物から狭い物まで様々。少し幅が違うだけでかなり印象が変わって見える。一枚で存在感のでるティアードボトムはマンネリ化を防ぎ、普段のコーデも格上げしてくれる優秀なアイテムと言えるだろう。
「流行る兆しは昨年から」
ティアードは昔からよく使われてきたデザインだ。特に、幅の狭いティアードはリゾートやエスニック系スタイルに度々使われてきた。あるいは、70年代のワンピースにもよく見られ、近年ではレトロの象徴として、あえてデザインされる事も多い。そんなティアードが今季はよりスタイリッシュになってストリートに返り咲いた。ブームは急に現れたようにも見えるが、流行る気配は小物から既に見えていた。それは昨年辺りからストリートでよく見かけるようになった「ティアードフリルバック」である。あの大きなフリルのついた存在感があるバッグを誰しも一度は目にしたのではないだろうか。また、バッグだけに限らずサンダルなどの小物にも、フリルを重ねたデザインが展開された。昨年からそんな兆しもあり、ついに今年はティアードがコーディネートの主役となるボトムスにまで進出を果たしたようだ。
「あえてカジュアルに着こなすのが今流」
ティアードボトムスの中でも特にストリートで多く見られるのがスカート。ここ数年、プリーツやフレアなどのブームがあったが、ティアードはそれらとは一味違う。主役を引き立てるスカートではなく、大胆に幅の大きいティアードで自ら主役となるインパクトがある。また、フェミニンな印象が強いが、カジュアルなアイテムとの合わせがストリートでは圧倒的に多い。Tシャツやスニーカーでハズして、カジュアルダウンさせるのが今流だ。
今回のティアードのように、少し時代遅れとなったデザインが一気に息を吹き返す現象は今までも幾度となく起こってきた。人は歴史を勉強する時に“過去に学ぶ”とよく言うが、ファッションのトレンドにおいてもまったく同じ事が言えるのだろう。時代を超えて人々を惹きつけるデザインに、私達は注目せずにはいられない。
【style-arena.jp】Street Style 担当
Street Style 編集部
Tokyo Street Style