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FASHION

産地の学校 × ベンベルグ 第1回

日本の繊維産地の未来を担う「産地の学校」と

ベンベルグ®のコラボレーションがスタート!

 

 

日本の繊維産地の活性化を目指し昨年開校した「産地の学校」をご存知だろうか。主に、産地やテキスタイルに対しての基礎知識の提供、ネットワークの構築はもとより、繊維・アパレル産業に携わる優秀な人材の発掘と育成、産地が抱える課題へのプロジェクト支援など、実際に繊維産業と関わり合いながら学ぶことができる実践的なプログラム活動を行なっている近年注目されている学校である。 旭化成では、世代を超えていきいきとした産地の産業を創り出すこの活動に賛同した。

 

主催は、産地の学校を運営する(株)糸編の宮浦晋哉氏。1987年千葉県出身。杉野服飾大学服飾学部服飾学科モードクリエーションコース卒業後、渡英しロンドンカレッジオブファッションで学ぶ。在学中、日本のテキスタイルが世界的に高評価を受けている一方で日本の産地が衰退していることに疑問を抱く。2012年に帰国後、留学中の論文をきっかけに 「Secori Gallery」事業を開始。2013年、コミュニティスペース「セコリ荘」を月島に、2015年に金沢にオープン。2017年5月、Secori Galleryから(株)糸編に改組し、産地の学校を開校した。

 

 

ベンベルグ®の素材の魅力、生産背景を追う

 

「産地の学校」がこの秋、新たなプログラムとしてスタートしたのが日本を代表するサスティナブル素材、<ベンベルグ>を学びのテーマとした” 産地の学校 Bemberg®Lab(以下<ベンベルグ>ラボ)”だ。

 

「自分自身、近年、世界的に益々注目を集める<ベンベルグ>の可能性には注目していました。ここ1〜2年の間に<ベンベルグ>を試行錯誤して開発に勤しむ各産地の機屋さんがとても多くなった。また”こだわりの布展“という布の展示会でも2年連続テーマになるなど注目度は益々高まっています」と主催の宮浦氏。

 

<ベンベルグ>がここまで注目を浴びるに至った背景について、「エコ」「再生繊維」「高付加価値」という世界的なトレンドを汲んで、各産地の機屋さんが様々に実験を積み重ねてきた結果だと語る。「そのような各地の機屋さんの状況や世界の流れをふまえて、次世代の人たちがいま学ぶべき必須科目ではないかと思い、今回のラボ開催につながりました」。

 

 

 

自然から生まれ、自然に還るスーパーエコ素材

 

今回のプログラムで取り上げる<ベンベルグ>とは、どのような素材なのだろう。これは旭化成が80年以上にわたり生産している再生セルロース繊維・キュプラのブランド名。コットンリンターと呼ばれる本来は使用されないコットンの種のうぶ毛部分を原料に、化学と技術の力で上質な繊維として生まれ変わらせています。この<ベンベルグ>を製造するメーカーは世界でも旭化成のみで、世界で生産される繊維総量のわずか0.02%という非常に稀少性の高い素材。同じく再生繊維のレーヨンと共に「サスティナブル」素材として現在世界的な注目を浴びています。

 

 

繊維マニアも思わずうなる、プログラム概要

 

目的

「学習」「考察」「交流」「実践」の機能を目指して、新しいアクションのきっかけや、事業の展開、さまざまな実践を重ねる場を提供する。

 

 

内容

第1回 10/13(土) イントロ講義 / なぜ、産地の学校がベンベルグ®に注目したのか? 会場:産地の学校 東京校

第2回 11/10(土) <ベンベルグ>アウター(表地)開発について 会場:産地の学校 東京校

第3回 11/15(木) <ベンベルグ>アウター素材展視察 / <ベンベルグ>ミュージアム視察 会場:恵比寿 / 日比谷

第4回 11/27(火) 撚糸~製織~染色整理、各工程の工場見学 会場:山梨県富士吉田市内

第5回 12/25(火)26(水) 製糸工場見学 会場:旭化成ベンベルグ延岡工場・レオナ工場視察

第6回 2/16(土) 最終プレゼンテーション 会場:産地の学校 東京校

 

 

期間

2018年10月〜2019年2月(全6回)

 

 

参加人数

 

15名(大学生、専門学校生、デザイナー、社会人など)

 

 

課題

①ビジネスアイデアの提案

②学びの報告

ラボでの経験・学びを元に、各受講者が<ベンベルグ>と共に独自の新たな試みを提案する。

 

 

特典

① 希少性の高い<ベンベルグ>だけの講座

②旭化成 産地有力企業の見学・交流

③旭化成 企業訪問

④ビジネスマッチングの機会 プレゼンテーション優秀賞への特典 提案したビジネスアイデアの実現を、旭化成および関連会社のリソースを使ってサポートする。

 

 

集いし我らベンベルガー!第一回目の講義がスタート

 

10月13日(土曜)、<ベンベルグ>ラボのカリキュラム第1回目の講義が馬喰町の産地の学校で行われました。テーマは「イントロ講義 なぜ、産地の学校が<ベンベルグ>に注目したか?」

 

会場には、大学生、ファッション専門学校生、社会人、産地の学校の修業生と、いろいろな経歴を持つ受講者15人が集合。彼らの共通点は、普段知ることのできない<ベンベルグ>の生産背景に触れられる、この貴重で稀な機会に興味を持ったところ。そしてなにより服が好きだ、テキスタイルの知見を勉強したいということ。様々な立場の人間が集まり同じ目的を共有する異種混合感がこのラボ最大の魅力であり強みと言えます。

 

 

14:30。会場全体が心地よい緊張感に包まれるなか、主催者・宮浦氏の挨拶で講義が始まりました。「こんにちは。今日は<ベンベルグ>ラボ初年度の第一回目です。15名の皆さんと一緒にこれから学びを追求していきたいと思っています。」そして全6回にわたるカリキュラム全体のながれを紹介。今回の受講を通してインプットした学びを各自のフィールドを通して咀嚼し、それぞれが思い描いたビジネスプランや将来設計、新たな提案を最終日のプレゼンテーションでアウトプットする。それこそがこの<ベンベルグ>ラボの目的であり最終的な着地点であるとの説明がありました。

 

 

 

わくわくが止まりません! 第1部・イントロ講義

 

 

「まず今日の前半はいろいろなところから集まってくれている受講生の皆さんの自己紹介も兼ねて、どんなメンバーがいるのか、どのような抱負を持ちこのラボに参加しているのか、また今後どのようなことをしていきたいのかについてみんなで聞いていきましょう。」円陣を組むように席を移動して、お互いの顔を見合わせながらの自己紹介です。受講理由はまさに十人十色。全員が将来への強い希望とやる気を胸に今回のベンベルグラボに参加されていました。

・現在産地の学校のラボコースを受講していて、産地を少しずつ回り始めたところです。天然繊維を勉強する機会が多いのですが、今回は再生繊維を学べるということでこちらのプログラムを受講しました。(板倉さん・デザイナー)

 

・ベンベルグには裏地として使われている印象しかなかったのですが、旭化成のHPを見てほかにも色々あることを知り興味を持ちました。自分で服を作っているので、将来もっと広い視野で素材をみられるようになりたいと思い参加ました。(鈴木さん・デザイナー)

 

・服が好きでメンズブランドでインターンをしています。服飾の学校に通っていないので、初歩的なところから学んでいきたいと考えています。いま生産現場に興味があって、地元の生産工場に駐在させていただきながらそれを発信したりしています。(鈴木さん・大学生)

 

・山梨県の富士吉田でハタ印というWEBサイトで機屋さんの記事を書いている関係でこのプログラムを知りました。生地だけではなく糸の生産背景を勉強できるいい機会だと思い参加しました。(森口さん・学生)

 

・テキスタイルコンバーターという仕事をしています。仕事上プリントに関してはプロとしての知識がありますが、織りや繊維についてはまだまだ学び途中です。この講義で知識をつけて将来的にはコンバーターとしてプリント以外のこともやっていきたいと思っています。(三川さん・会社員)

 

全員の自己紹介が終わったところで講義前半が終了。このころには場の空気もだいぶ和やかなになり、ほどよく打ち解けた空気になっていました。好きなものが同じ同士は、同調するのも早いものです。

 

 

 

深淵なる繊維沼にはまるよろこび 第2部・知れ、これがベンベルグ®だ

 

 

短い休憩を挟んで、ここからは旭化成のマーケティング室・佐藤健二郎も加わり、いよいよ本格的な講義が始まった。

 

「テキスタイルの専門的なことだけを学ぶということではなく、<ベンベルグ>の魅力をみんなで一緒に発掘していきたいと思っています」と宮浦氏。

 

 

配られた教科書を見ながらテキスタイルの製造工程や専門用語、織物や編物の機械について、染色や混率などの基礎的な知識を紹介。ほかの素材と<ベンベルグ>を比較しながら分かりやすくその魅力を説明した。

 

 

次に実際のサンプル生地を見て触りながら、富士吉田、桐生、尾州など産地ごとの特性を解説。短繊維と長繊維の違いから、同じ工程でも地域によってさまざまな特色があることなど。そしてこの違いこそが、強い日本の産業構造を作ったというお話でした。国内の各産地を見てみきた宮浦氏と、多くの素材を手がけてきた佐藤ならではの話はとてもマニアックながらも面白く、いい学びになったのではないだろうか。

 

 

第2部終盤には、佐藤から<ベンベルグ>についての詳しい解説。その後の質疑応答では受講生から本格的な質問が次々と寄せられ、熟練の技術者でも答えに戸惑う場面も。受講生の好奇心の高さとあつい気持ちがうかがえたところで、気がつけば午後17時。次回講義の告知と共に、宿題(市場のリサーチ)がでたところで第一回目は終了となった。

 

 

 

初回講演を終えて、それぞれの思い

 

講義終了後の懇親会では受講生や関係者の方々に初回を終えての感想、また期待することをうかがいました。

 

 

<主催 産地の学校 宮浦晋哉氏>

第一回目の講義を終えて、受講生のみなさんの学びたいというモチベーションの高さをとても強く感じています。最年少の二十歳で参加されている子も、しっかり予習してきてくれている様子でした。学生からプロまで幅広くいいメンバーが集まっているので今後が楽しみです。(宮浦氏・主催)

 

 

<旭化成マーケッティング室室長 近野哲>

<ベンベルグ>という素材を学んでいただいたうえで、若い感性でどんなアウトプットを見せてくれるのか。そこにすごく期待しています。ぜひ我々が思いもつかないような可能性を発見していただきたいです。

 

 

<受講生の声>

・今日をとても楽しみにしていました。いろんな服好きの人たちが集まっていてすごく面白かったです。将来ブランドを立ち上げたいと思っているので、このように基礎から学ばせていただける環境があることがありがたい。生産者に興味を持つことで得たわくわく感をいろんな人に伝えたいと思っています。(鈴木さん・デザイナー)

 

・繊維の知識が全くなかったので、正直、講義の内容は難しいことが多かったです。ネットワーキングという意味では、いろんな職種の方々がいるので、いいネットワークが作れるのではないかと期待しています。今回ベンベルグの特性を学べたことで、今後自分のブランドにも活かしていけそうだと実感しました。(佐々木さん・会社員)

 

織りなどの基礎的なことは、専門学校で学んでいたので分かりやすくてよく理解できました。より専門的なことになると難しかったです。講義で染める行程などの話を聞いて、工場見学がいまからとても楽しみになりました。(江川さん・学生/大場さん・学生)

 

それぞれ、今後に向けた意気込みを語り、最終プレゼンテーションに向けてのアイデア創作が始まる。