スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

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2017.09.18

コラムVol.64『2017 S/S トレンド総括』

  • Category FASHION

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90年代リバイバルの勢い止まらず

 

 昨年、2017S/Sコレクションが発表された時にリゾートスタイルとエスニックスタイルがトレンドの予測として出ていたのを覚えているだろうか。しかし、実際のストリートでは、刺繍アイテムや花柄の流行はありつつも、圧倒的に存在感があったのは90年代を彷彿とさせるリバイバルアイテム。具体的に挙げると“ガチャベルト”や“ロゴもの”といったカジュアルなアイテムから“キャミソール”や“ミュール”といった女性らしいアイテムまで、幅の広いラインナップであった。

 

 

トレンドのズレの正体

 

 ここで考えておきたいのは、なぜこのように流行のズレが生じたか。リゾートスタイルやエスニックスタイルというのは、ここ数年で何回かのサイクルで流行していたため、既視感があり、新鮮さが感じられなかったことが挙げられる。そこで90年代のリバイバルアイテムが登場してきたのだ。もう一つの理由としては雑誌などのマスメディアをチェックする人が少ないという現状と、SNSのファッションアイコンの存在も大きい。現在はコレクションではなく、ストリートファッションから流行が生まれる時代と言ってもいいだろう。

 

 

着こなしに変化の兆し

 

 シルエットに焦点を当てると、以前まではミニマムなトップスにハイウエストのワイドパンツといった、ボトムスのボリュームを強調したシルエットが圧倒的に多かったが、今夏はそれが少しずつ変化していった。レイヤーがしやすいガウンやワンピースの登場もあって、今までタブーだったワイドにワイドを合わせるコーディネートが登場。また、一枚で十分に着られるワンピースも敢えてボトムスを履くなど、縦長のライン、つまりIラインを意識させるようなコーディネートが多くなっているのだ。

 

 

 今年の夏についても言える事だが、ストリートを見ていて最近感じる事は、以前までの“トレンドに合わせなければダサい”、という価値観が薄まりつつある。よく日本人ほど流行に左右される国民はいないと言われるが、その日本のファッションもようやくに変化の兆しが見えてきているのかもしれない。

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