2017.02.05
コラムVol.42『カーキを着れば、正解だ。』
- Category FASHION
■16-17 A/W 推しカラー
2016-17 A/W トレンドカラーとして話題になった「テラコッタ」。テラコッタはイタリア語でTerra Cotta、英語ではBaked Earth、つまり「土(粘土)を焼いた」状態のことを示す。具体的にはブラウンにオレンジが混ざったような煉瓦カラーで、素焼き独特のヴィンテージ感と渋さ漂う、ニュアンスカラーだ。昨年の晩夏には大人カジュアルやオフィスカジュアル、レディライクなコーデに欠かせない秋冬カラーとして注目されていた。しかし、実際は着用率が低く、ベージュやグレーなどのキレイ目に合わせられる定番カラーの勢いに押された。そんな中で、今季最も印象強いカラーと言ったら「カーキ」だ。男女共に幅広い層から受けが良く、テラコッタを抑え、推しカラーNo.1となった。
■流行ったのはいつから?
ストリートファッションは見ていると、カーキカラーは様々なアイテムに取り入れられ、存在感の強さをまざまざと感じた。ただ、今季から流行ったかというと、そうではない。出始めは昨季からだ。ミリタリーファッションの流行と自然回帰の傾向だった70年代後半に、アースカラー(ナチュラルカラー)が流行し、それが昨季リバイバルされた関係で、カーキが再度注目されたのだ。
■カーキの指す範囲
さて、カーキといっても人によって想起する色は様々で、バラつきがでやすい。本来は黄色に少し茶色の混ざった色を指す。19世紀半ばにインドに駐留していた英国軍が白い服を土で染め、現地語でカーキと称したのが始まりといわれている。その後、軍用服にはベージュのような色からオリーブに近いような色まであったが、総称してカーキと呼ぶようになった。
■着こなしのベクトル
カーキは元々メンズの定番として定着していた色だが、今季はレディースの勢いが凄まじい。主にアウターに取り入れていて、その他アイテムは抑え目のカラーを使い、カーキが主役になるようにスタイリングしていた。カーキ=ミリタリーというイメージが強いが、それとは別に単純に色として取り入れて、今っぽくクリーンに仕上げている。ただそういった流れの中でも、【ヴィンテージミリタリー】や【ヘリテージ】というキーワードが重要視されていたのも事実。そういう意味では「Barbour(バブアー)」のジャケットが、例年よりとても新鮮に感じられた。ちなみにヘリテージとは“先祖伝来のもの、遺産、伝統”という意味。ファッション界では“過去の遺産からインスピレーションを受けた新しいアイテム”と言う方が適切だろう。
■カラーコーデ
色の組み合わせで気になったのはベージュとのコンビが増えたこと。以前はベージュとネイビーの合わせがスタンダードだったが、今季はカーキが主流。イメージしているよりもカーキは意外と取り入れやすく、ブラックやブラウンとも合う為、普段のコーディネートに入れやすい。下記写真のように敢えてカーキワントーンに仕上げている人も増加した。また、ブラックワントーンやネイビーワントーンに一点投入する着こなしにもハマる。カーキを使う上で大事なポイントが、土くさくならないようにすること。色味は勿論だが、靴や小物で品や上質感を入れ、クリーンさを失われないようにするのが重要だ。
誰がなんと言おうと、この秋冬のメインカラーはカーキだった。ミリタリー系の服が充実しているのは当然だが、普段ネイビーやグレーを着ているような“普通の服”にも次々とカーキの物が登場した。ごく普通の服をカーキにチェンジするだけで、モダンさを演出し、洒落さも倍増する魔法のカラーと言っていいだろう。2017年もストリートファッションを席巻するか注目したい。
【style-arena.jp】Street Style 担当
Street Style 編集部
Tokyo Street Style