ここ2~3年のストリートでは、古着の着用率がかなり増え、古着とファストファッションを組み合わせてコーディネートするのも当たり前となっているが、その古着にも大きく2つの流れがあるようだ。
1つは、Vintageと呼ばれるもの。だいたい25年経過~100年以内のモノがヴィンテージと呼ばれるそうだが、厳密な定義は無く、わりと新しめの品でもヴィンテージ風であれば一緒に売られている。ヴィンテージ専門のシ ョップでは、希少価値感を出すため、店内全体の世界観を大事にし、インテリアやディスプレーに凝っているところが多い。商品価格も新品以上に高いが、1点モノで希少価値があり、保存状態も良ければ本来は納得のプライス。しかし、それを理解させるには、演出も必要なのだ。
一方、もう1つの潮流である安くて質の良い古着。こちらは店の雰囲気より実際のアイテム重視で、買い付けに行くバイヤーさんのセンスや交渉力で勝負するタイプ。近年は買い付けてきたアイテムをうまくコーディネー トしたり、新しい着こなし方を提案する事によって、ストリートでのトレンドを牽引する程の影響力を持っている。例えば、昨年ヒットしたスカジャンやMA-1、ベロアパンツにキャミソールの重ね着などは、すべて古着屋発信 のものだった。今年もまたスカーフベルトやシャツビスチェなど様々な提案をしているようだ。
今回の撮影場所となる「FURUGI FESTIVAL 2017」は、後者のタイプに属するショップが数多く出店する古着の祭典。開催概要は以下の通り。
・開催日:2017年12月3日(日)
・開催時間:AM10:00~17:00
・開催場所:大井競馬場 ウマイルスクエア
※ 来場予定:約10,000人
・主催:日本古着小売業協同組合
・協賛 :FLORIDA(有限会社ティッピラグ)・JAM(株式会社JAM TRADING)・MICMO(株式会社MICMO)
スピンズ(株式会社ヒューマンフォーラム)・WEGO(株式会社ウィゴー)
大井競馬場がある場所は、辺りにほとんど店など何も無い埋めたて地区。こんなところに競馬以外で本当に人が集まるのか不安だったが、行って見れば駅から行列ができる程の賑わいで、広い会場にも関わらず出店者と来場者でビッシリ。「予定来場者1万人」はあながち虚偽ではないようだ。また、来場したほとんどの人が1日中をここで過ごし、 1店1店細かくチェックしながら買い物を楽しんでいた。
撮影した人たちに聞いてみたところ、ファストファッションもよく着るが、同じ値段で生地や縫製が格段に良い古着にとても魅力を感じているという。「生地の厚みが違いますね」「ディテールに至るまでよくできています」「色や柄がいい」といった声を数多く聞く事ができた。
そして驚く事に、学生・社会人に限らず、ほとんどの来場者たちはファッション関係者ではなく、まったく違う畑の人という点。裏を返せば、もはや古着はファッション好きのための特別なものではないということ。一般の人たちにも平凡で作りが悪く値段だけが高い服よりも、安くて質が良い古着を買った方がお得だという考えが浸透してきているのだろう。古着をファストファッションとうまく組み合わせれば、かなり安価で質の良いオシャ レなコーディネートができてしまう。
今回撮影した人たちも、古着、ネット通販、ファストファション、エスニック系など比較的安価で買えるものを組み合わせ、うまくコーディネートしている人が多かった。
Coverage staff : Director "HINE", Photographer"Aya"