スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

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2020.05.31

コラムVol.129『“憧れ“から身近”にシフトした、ハイブランド 後編』

  • Category FASHION

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若者の集客と顧客離れ

 

 今までのハイブランドの客層は自由にお金を使える財力を持つ富裕層やハイブランド信者の30~40代以降が中心になっていた。20代の若者を取り込む為に多くのブランドが手を付けたのが、ハイブランド独特の“いかにも入りにくい”という店内の雰囲気を一掃したこと。入りやすい開放的な空間になり、手に取りやすいポップなデザインのアイテムが増え、徐々に集客に繋がった。また、若者向けのプロモーションが増え、SNSを通して一気に広がった影響もあるだろう。今までハイブランドに“お金を使ってこなかった”若者たちが“お金を使いたくなる”デザインやアイテムが展開された。一方で、戦略は若者向きになり、今までの古株である30~40代の顧客たちが離れていく「顧客離れ」もあると一部では揶揄されているという悩ましさも…。

 

ワンポイントにハイブランド

 

 若者たちのファッションから自然発生し、定着した総称であるストリートファッション。これは、裏原ファッションと呼ばれることもあるが、様々なジャンルを取り入れる柔軟な若者たちの発想から生まれたファッションのこと。“洋服にお金を使わない”と言われている若者たちだが、近年そのストリートファッションにワンポイント、もしくは格上げアイテムとして取り入れられるようになったのがハイブランドのアイテムだ。具体的にはアクセサリー、靴、バッグに取り入れることが多い。セリーヌやグッチなどのヴィンテージバッグは、ロゴが小さめのもの、中にロゴがあるものが多く、さりげなくブランドを主張している。

 

 

 また、近年は多くの古着屋でもハイブランドのヴィンテージを取り扱うことが多くなった。例えばセリーヌのマカダム柄はブランド側が生産終了しているにもかかわらず、2018年頃からブームが現在まで継続。価格も1万円前後で購入できる為、すぐに完売となる人気商品となっている。

 

 

 今までは憧れで手が出せない存在で、距離感があったハイブランドだったが、デザイナーの交代や古着屋での取り扱いの影響で、親近感が生まれ、若者とハイブランドとの距離は確実に縮まった。今後もハイブランドの立ち位置がどう変わっていくのか楽しみだ。

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