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2020.02.14

公園と商業施設が一体化したグランベリーパーク

  • Category CULTURE

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公園と商業施設が一体化したグランベリーパーク

 

 グランベリーパークは、2000年4月開業のグランベリーモールをリニューアルした施設。来場者数は、開業約10日で100万人を超えた。商業施設の設計は東急設計コンサルタント、駅の改良は東急電鉄、ランドスケープの設計はFd Landscape等だ。

 

 パークの特徴は、商業施設と公園が一体的に扱われている点である。モール時代は、隣接する鶴間公園とは接続していなかったが、パークは鶴間公園の一部に商業施設が入り込む。公園と商業施設との接続は高低差があり、この部分に縦動線と人工芝の場を複数配すことで商業施設との縁を切りつつも公園ではないバッファを意識的に設けている。この中央には、高さ5mのリスのオブジェがある。このオブジェは、パークのある東京都町田市のリス園に由来する。パークで良く目にするキャラクターにスヌーピーがいる。六本木にあったスヌーピーミュージアムが移転してきためだ。この他、児童館なども配置されているが、これらはすべてバッファ部分に配置されている。

 

 モール時代の駅は小さく、駅の脇に道路がある関係で、駅と道路の間のゾーンは狭く、施設は分断されていた。駅からは、ほぼフラットに改札を出るので、道路手前で道路を超え、かつ道路向こうの商業施設ゾーンの地盤面まで上がる必要があった。パークは、駅が広く、高くなり、ホームから改札までの間に階段とエスカレーターで商業施設の地盤面まで上げてしまうため、パーク内は高低差なく行動できるようになった。主動線となる下りホームからは、眼前に広い階段と空が広がり、上がりながらパークへと視界が開けていくという楽しみが演出されている。

 

 施設は、基本的には2階建てで、1階の外部通路と、ここに面した2階の通路で周回する。訪ねたのが正月だったこともあり、リスの周辺には多くの人が人工芝に座り、2階通路は人であふれていた。モール時代は、広場は1箇所だったが、パークでは通路幅を変えることで複数の広場を確保し、冬場はその一つにアイスリンクが設けられている。

 

 モール時代から犬の散歩が多かったが、公園と一体化したことで円滑化し、これに加えて散歩やスポーツなども活発化していくのではないだろうか。これを見越してか、公園に近い側はスポーツ関係の店舗、駅周辺には日常の生活に必要な店舗が配置され、近隣住民の暮らしをパークでどのように共存させていくかも含めて計画されている。

 

 

 

 

 

博士(工学)、有限会社花野果 代表取締役

二村 悟

Satoru Nimura

受賞歴:O-CHAパイオニア学術研究奨励賞 受賞、第47回SDA賞 サインデザイン奨励賞・九州地区賞特別賞 受賞、第5回辻静雄食文化賞 受賞ほか

静岡県掛川市 (旧大東町) 生まれ。博士(工学) (東京大学)。
東海大学大学院博士課程前期修了。元・静岡県立大学食品栄養科学部 客員准教授。
現在は、有限会社花野果 代表取締役、専門学校ICSカレッジオブアーツ 非常勤講師、日本大学生物資源科学部森林資源科学科 研究員・非常勤講師、工学院大学総合研究所 客員研究員。

主な著書:水と生きる建築土木遺産 彰国社 2016、日本の産業遺産図鑑 平凡社 2014、食と建築土木 LIXIL出版 2013、図説台湾都市物語 河出書房新社 2010

花野果 HANAYAKA
https://tatemonoxxx.amebaownd.com/
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