2019.12.17
コラムVol.118『秋冬に彩る“くすみパステル”』
- Category FASHION
■取り払われた「季節感」の概念
2019年秋冬トレンドカラーの「くすみパステル」。具体的には、ペールトーンに近く、彩度が低めでぼんやりとした淡い色合いのこと。よく春に使われることが多いカラーだが、近年は秋冬にも登場し、季節のイメージカラーに変化を見せている。コーディネートはミントカラーに白を合わせるコーデが主流で、より春らしさを感じさせる爽やかな着こなしが多く見られた。あえて秋冬に春のようなくすみパステルを入れることで、コーディネートに新鮮さがプラスされる。柔らかな印象にも仕上がり、ダークカラーが増える秋冬には「華のある」コーデに。
現在、ファッションコーディネートの約束事の一つでもあった、「季節感」という概念は、無くなりつつある。四季のはっきりした日本ならではの約束事であったが、近年の地球温暖化や気候変動は、ファッションシーンにも変革を起こした。特に今年は季節の境界線がなかったと言われるほど、「四季」自体が失われていた。洋服は季節に合わせたカラーで着こなすも勿論楽しい。だが季節感がなくなりつつある今、“好きな色の服を好きな時に着る”ことができるという考えは、新しいジャパンファッションの概念となるだろう。