2019.11.30
コラムVol.117『イット・バッグに出世した巾着』
- Category FASHION
■時代回帰した江戸時代スタイル
今やユニセックスなバッグの定番として用いられ、愛されている「巾着バッグ」。近年のミニバッグブームに伴い、2017年頃から本格的にトレンドの仲間入りした巾着バッグはいまだに衰退する気配が全くない。もともとは江戸時代に小銭などを巾着に入れ、腰にぶら下げることから始まった歴史的なアイテム。レトロなスタイルが流行っているとはいえ、ここまで時代回帰したアイテムはストリートファッションシーンでも珍しい現象だ。
そんな巾着バッグの火付け役は、ニューヨーク発のバッグブランド、「マンサー・ガブリエル」。巾着バッグをランウェイで取り入れ、インスタグラムなどのプロモーションと併せて注目が集中した。丸みがある可愛いらしいフォルムと実用性のギャップにファッショニスタは惹かれ、瞬く間にイット・バッグとしての地位を確立したのだ。
ブレイクし始めた頃はコットンやレザー調などの素材がメインで展開されていたが、今年はデザインの幅が広がっている。秋冬に持つのに適した暖かみがあるキルティング生地の物、最近注目度が高いベトナムを中心としたアジアライクな刺繍の物が登場した。一発屋で終わらず、長期的なトレンドのレールに乗った巾着バッグの更なる進化に今後も注目だ。