2017.01.27
"Food Analyst CHIHARU Selection"
『いちご・イチゴ・苺のショートケーキ』
- Category GOURMET
2017年最初の“Food Analyst CHIHARU Selection”のピックアップ食は「いちごのショートケーキ」です。
1月の中旬あたりから街のあちらこちらのホテルや飲食店などで「いちごフェア」をかなり目にするようになりますよね。
実際に日本国内の苺農家のほとんどは、12月のクリスマスケーキ用苺の出荷時期から、本格的な繁忙期がはじまり、2月位まで続きます。
そもそも苺の本当の旬(本来の露地物)は、3月~4月頃。その時期の露地物苺は安価で、しかも甘さが強く、とても美味。
ですが、その色や形、味、香り、そしてイメージの良さから苺は年中大人気。そして、1月の“新春”や“迎春”などという日本の伝統的季語と本来の旬である〝春〟をイメージする苺の色や甘酸っぱさ、季節感を先取りする気分になれるという感覚が消費者から生まれ、いちごを早くから食べたいというニーズに応える形でハウス栽培の技術向上や品種改良に全力を注ぎ、今では苺のほとんどを促成栽培のものが食べられています。
最近では、真夏に採れる「サマープリンセス」や「すずあかね」「なつみずき」などの品種も登場。夏場は輸入物に頼っていた苺も、国産で美味しく品質の高い苺が手に入るようになってきそうです。
さて!“ショートケーキ”って、実は欧米にはなく、日本独自に発展したケーキだということはご存知?
実際にアメリカやイギリスにも“ショートケーキ(shortcake)”と呼ばれているお菓子はあるのですが、日本人がイメージする“ショートケーキ”とはかなりの別ものなです。
アメリカやイギリスでの“ショートケーキ”は、スポンジ生地ではなく、小麦粉の生地にショートニングやラードを加え、重曹とベーキングパウダーで膨らませた、外側はサクサク、内側はふっくらとした「ビスケット」土台にして生クリームと苺をサンドしたもの。
また、フランス菓子の“ショートケーキ”的存在は、「フレジエ(Fraisier、フランス語でイチゴの意)」であり、スポンジには、アーモンドペーストが使われしっとりとしている。外側にはクリームやバタークリーム、またクレーム・ムースリーヌなどが使われ、中には苺がはさみ込まれているもので、伝統的なスタイルの「フレジエ」は、薄いマジパンで表面を覆われたものが一般的なようです。
発案者については諸説あり、大正11年に「不二家」のケーキ職人が考案したとされる説が有力ではあるそうですが、正確な情報はなく、広く日本国民に“ショートケーキ”が愛され広まったのも冷蔵庫などが一般家庭に普及した昭和30年代以降だとか。
今回は、商品の呼称が店舗毎に違いますが、上記の内容を踏まえたうえで、あえて日本スタイルの呼称を使わせていただき、これから益々美味しくなる、私達に馴染みあるおススメ“いちごのショートケーキ”(いちごのケーキ)をご紹介。
ちなみに毎月22日は、ショートケーキの日(カレンダーの22日の真上の数字が15〈イチゴ〉だから)だそうです。
【 エーグルドゥース 】
( 東京都新宿区下落合3-22-13 )
2004年2月7日オープンして以来、常に多くのお客様が寺井則彦シェフのスウィーツを求めて行列をなす人気フランス菓子店。
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【 スウィーツガーデン ユウジ アジキ 】
( 神奈川県横浜市都筑区北山田2-1-11 )
2010年5月に「SWEETS garden YUJI AJIKI」をオープン。
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【フレンチパウンドハウス】
( 東京都豊島区巣鴨1-4-4 )
1986年オープン、巣鴨駅南口から4分程の閑静な住宅街にある“ショートケーキ”が話題となった店。
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(―社)日本フードアナリスト協会 認定講師 1級フードアナリスト
齊藤 千晴
Chiharu Saito
日本全国の市町村で食材探しや、世界70都市以上での食べ歩きにより、訪問した飲食店は1万件超。
数多くの食文化大使も務め、TV番組「いきなり!黄金伝説。」の食企画では複数の企画を担当し、情報提供やコメンテーターとして出演中。
その他、月刊誌のライター、コラムの執筆、Webマガジン連載、大手企業へのレシピ提案、ジャパンフードセレクション審査員、イベントトークショーへの出演等、幅広く活動する食の情報の専門家。