「“衣服”がもたらす新たなつながり 神田明神の隠れ家ショップ "M(エム)"」
商売の神様「えびす様」をまつる都内屈指のパワースポット神田明神。人気アニメの聖地としても知られ、日本人のみならず海外からの参拝客で連日賑わいをみせている。そんな清々しい気に満ちた境内の奥に、実験的コミュニティスペースともいえる新感覚の空間が存在する。人気ブランド「MUVEIL」のデザイナー中山路子氏が手がけるギャラリー兼ショップ「M」だ。
「M」は中山氏のこころにひびく関心事にインスパイアされたコレクションを展開するファッションブランド。衣服の持つ間接的影響力にフィーチャーしながら、一緒に過ごす人や空間・作品など、自身を取り囲むものをうやまい、そのものの魅力を引きだす衣服の提案をしている。その「M」の世界観を反映した旗艦店として2017年にオープンしたのがこちらのお店。ロケーション、しつらえ、商品構成に至るまで、中山氏のつくり手としての想いを感じられる空間だ。
店内はニューヨークのアートギャラリーを思わせるモダンなつくり。飾り気のない白壁にむき出しのコンクリート、高い天井、吊り下げたランプなど、直感的におもわず「かっこいい」と感じさせる自由で都会的な雰囲気が漂う。目をひく仕切りの大きなガラス壁は、” そこに境界は存在しない。”というショップコンセプトの象徴となっている。
取り扱いは「M」の最新コレクションをメインに、季節にあわせたシーズン物も取り揃えている。今シーズンは、中谷宇吉郎著「雪」から、天からの贈り物の象徴として「雪の結晶」「氷柱」「氷」「霧」にインスピレーションを得てアイテムを展開。ぜひ手にとって中山氏が感じた自然からのメッセージにおもいをめぐらせてみてほしい。
また、「M」のコンセプトに共鳴する様々な作家とのコラボレーションを通し、衣服に隠されたテーマを感じとるという月一ペースで行われている企画展にも注目だ。異業種との出会いから新規のコミュニティがうまれ、この空間であらたな価値が創造されていくつながりの連鎖が魅力。展示販売される作品のクオリティーの高さもすばらしいので、服好きならずともアート好きにはたまらない時間となるはず。
よく晴れた休日の午後はパワーをいただきに神田明神に参拝して心をリセット。
そのまま「M」の世界観に触れてみるのはいかがだろう。素敵な出会いが訪れそうだ。
( Written by Daisuke Shoji )