フラっと入った古本屋で目についた本を買い、雰囲気のあるカフェでその本を読みながら、ゆったりとした時間を過ごす。そんなライフスタイルが似合う神保町には、映画館や楽器屋、アートギャラリーなどもたくさんあり、町全体が文化・文芸地域ともいえそうだ。
その神保町のメインストリートとも言うべき「すずらん通り」沿いにある画材・文房具・セレクト雑貨の店が、今年で創業130年を迎える「文房堂」。
「日々の暮らしにアートを。」というコンセプトのもと、そこにはアートに触れてみたい、興味があるという人たちに向け、画材売り場はもちろんのこと、ギャラリーやアートスクール、ギャラリーカフェを併設し、手ぶらで来店しても、画材、絵を描く場所、作品を展示する場所、さらには仲間と語り合える場所まで用意されている。
売り場は、地下1Fが文房具やデザイン・コミック用品、1Fは主に洋画材やセレクト雑貨、2Fは版画や和画材と和雑貨、6Fが額縁となっている。ちなみに、3Fは文房堂 Gallery Cafe、4Fはギャラリー、5Fと7Fは文房堂アートスクール神田校となっており、すべてが「アートのためのビル」と言っても良いほどの充実ぶりだ。
画材で注目すべきは、日本で一番最初に製造・販売をはじめたという専門家用油絵の具「文房堂アーチスト油絵具」。その他にも文房堂オリジナルのアイテムが各種揃っており、ここでしか買えないものも多い。
また、お店のビルは、奇跡的に関東大震災や戦火でも倒壊を逃れた旧館の外壁をそのまま残した歴史と趣のある外観で、それに合わせインテリアも、什器や照明も含め、温もりあふれる親しみやすい空間となっている。
アーティストを目指す人はもちろん、興味のある人はぜひ一度訪れて、まるごとアートの世界に浸ってほしい。
(文・写真/日根野哲也)