2021.10.12
コラムVol.143 『コロナウイルスが変えた、時間とお金とファッションの向き合い方(前編)』
- Category FASHION LIFESTYLE
■「今あるものを活かす」、「高くなくていいこと」への意識
昨年から世界中で広がったコロナウイルスは人々の生活を大きく変えた。お金の使い方から、生活の質、仕事の仕方など。ファッションとの向き合い方もこの1年半で大きく変化したと言っていいだろう。そんなコロナウイルスによって変わった価値観を前編、後編の2回に渡って紹介する。
▶コロナウイルスがもたらした価値観の変化(1) 「断捨離の加速」
コロナ禍で加速したのは洋服の断捨離だ。外に出る機会が極端に少なくなったこの1年半。外出用のオシャレ着に需要が無くなってきた。「出掛けない、会わない、買わない」が普通になり、同時に“今あるものを一旦整理する”の思考に変わる。SNSはもちろん、多くのメディアでも「断捨離」のワードが多く見受けられ、今までの洋服と向き合う時間が増えた。
断捨離する洋服は「シミ、シワ、毛玉がある」、「価格が安かった」、「沢山着て飽きた」などあるが、クローゼットの断捨離が進む最大の理由は“いつか着るかも…”と思った、実際に着ない洋服がありすぎること。コロナ禍で人と会う機会も少ないし、“もう着ない洋服は手放して整理しよう”、という気持ちになった人が多い。この断捨離の加速は雑誌や本などにも波及して、普段目につかない物を手放す人も増えた。
▶コロナウイルスがもたらした価値観の変化(2) 「プチプラの勢い」
一方、コロナ禍で「GU」や「UNIQLO」などのプチプラで身近なブランドの人気はそこまで勢いが落ちていない。外出自粛宣言中の2020年4月~6月に発売された、GUのポケモンコラボのルームウェアは、オンラインストアで“待機したけど買えなかった”という声がSNSで溢れるほど。ポケモンファンが多いことはもとより、買いやすいGUの価格帯と可愛らしいデザインも影響した。また、女性を中心に“お家でも可愛く過ごそう”の風潮は強く、この1年半でSNSに上げるルームウェアの写真も一気に増え、注目が集まっている。最近ではGUやUNIQLOのみならず、Amazonなどのノーブランドでも取り扱いが非常に増えたのも印象強い。デザインも豊富で、GUより安いものさえあるほどだ。
テレワークが中心になったことで、オンラインでもオフラインでも着ることができる洋服をプチプラで、という考えも根付いた。ただ、家から出ずオンライン上でのやり取りになったとはいえ、仕事は仕事。上半身だけオフィスカジュアルな洋服で、下半身は映らないからパジャマやスウェットを選ぶスタイルが浸透。在宅でだらけがちだからこそ、画面に映っている部分だけでも仕事モードへ、という意識が高くなったことで、“せめてブラウスなどの外出服は買っておく”という流れができた。
とはいえ、対面であれば“それなりの服を着なければ”という気持ちになるが、オンラインであれば洋服にそこまで意識は向かわない。つまり、プチプラであろうとなかろうと分からないのだ。コロナウイルスで拍車がかかったプチプラ人気はこの先も長く続くだろう。
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