■空間への投資と、変化したファッション性
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▶コロナウイルスがもたらした価値観の変化(3) 「ワンマイルウェア生活」
外出する、人に会うなどの生活スタイルが無くなり、注目されたのが「ワンマイルウェア」。家から1マイル(約1.6キロ)の外出にピッタリという意味から、部屋で過ごしながらも外への買い物にそのまま出られる服を指し、スウェット素材のロングワンピースやセパレートされたルームウェアが主流。
外出が気軽にできるようなことはほとんどなかった2020年~2021年。テレワークで仕事をして、外食もすることなく自炊をして…と家で全て完結してしまう。そこで出てくるのが、「オシャレをする」ことへの意識の薄まり。ワンマイルウェアなら、起きてすぐWeb会議などに参加ができ、そのままの格好で生活に必要なものを買いに出掛けることもできる。
部屋着ほどラフではなく、家でも外でも通用する。レイヤードする必要も、スリットなどを生かす必要も、何が合うのかを考える必要もない。“服を纏うことを楽しむ”という概念が、希薄になったがゆえ、“こんな時くらいお金を使わずにいたい”という、前向きな思考のもと、ワンマイルウェアは生活する上で欠かせないアイテムとなった。
▶コロナウイルスがもたらした価値観の変化(4) 「マスクに加わったファッション性」
今や日常生活や外出するのに欠かせなくなったマスク。昨年から多くのアパレルブランドがマスクをプロデュースし、販売するようになった。レース、刺繍、アクセサリー付きマスクなど、そのデザインは多岐にわたり、各ブランドの色が濃く出ているものばかり。
・Casselini/キャセリーニ シアーマスク (FREAK’S STORE)
今までマスクは、「すっぴん隠し」、「風邪予防」、「花粉症対策」など、用途は決まっていたが、コロナウイルスが流行ったことで、奇しくも脚光を浴びた。顔色が明るくなる血色マスクに、小顔に見せるマスク、柄やカラーが特徴のマスクなど、ブランドによって個性が垣間見えるアイテムとなった。
▶コロナウイルスがもたらした価値観の変化(5) 「衣から住へ」
「おうち時間」。自粛期間や緊急事態宣言と併せて、多く聞かれたワードの一つだ。おうち需要は昨年から大きく注目されて、メディアやSNSでも話題になった。1日中家で過ごすことを余儀なくされた環境下の中では、家での時間をいかに快適に過ごすかに重きが置かれる。それは寝具へのこだわりから、インテリア、ガジェットなど様々。例えば、
・映画館に行けない代わりにプロジェクター
・プラネタリウムなどに行けない代わりにムーンライト
・カフェに行けない代わりにオシャレな食器、インテリア、カトラリー
など、洋服への「着飾るもの」から「過ごす空間」へ投資するように変化している。
また、テレワークやWeb会議をしやすいように机や椅子を買い替えたり、照明などを購入したりする人も多い。現在は自身の空間を快適にすることに意識が向き、日経新聞によれば、昨年ニトリは110店舗が休業したにも関わらず売り上げはプラスになった。
(参照;https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60914700Z20C20A6000000/)
あと数年は続くと言われているマスク生活。ワクチンが広く浸透しても終息の目処が立たないウイルスと、今後も付き合い続けていくことになるだろう。マスクを付けず、ファッションやメイクを心置き無く楽しみ、友人たちとの会話に花を咲かせる、当たり前だった日常を1日でも早く取り戻せることを祈るばかりだ。