スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

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2024.11.21

自然の中で出会う感動体験「ふくしまシルクロードツアーの旅-ふくしま絹の道フェスタ編」

  • #テキスタイル
  • #ふくしまシルクロードの旅
  • #服飾学生へのおすすめ記事

世界も注目、福島が紡ぐ”文化”に触れるイベントへ潜入

 

 

ファッションやアパレルの業界において、欠かすことができないテキスタイル。洋服や小物などのデザインと同様に、アイテムの完成度を左右する重要な要素です。海外生産が台頭する一方で、近年、日本の高品質なテキスタイルや技術が世界から注目を集めています。

 

中でも「福島県」は、古来より養蚕業が盛んであったことから、今でも織物や絹(シルク)の生産が続く貴重な地域。特にシルクはアミノ酸タンパク質からできた天然繊維であることや、養蚕業の過程において無駄がない点などから、”人に、地球に優しい素材”として、その価値が見直されています。

 

そんな、今気になる素材「絹(シルク)」にフォーカスしたイベント「ふくしま絹の道フェスタ」が、11月4日福島市民家園で開催。これはスタイルアリーナが、以前密着取材を行なった「ふくしまシルクロードの旅」の関連イベントでもあるということで、今回も取材するべく現場へ!ツアーレポートの最終章として、イベントの様子をお伝えします。

 

「ここでしか体験できない。心震える『ファッションキュレーターと巡るふくしまシルクロードの旅』」

 

人生を変えるかもしれない、旅の始まり。歴史を学べるからりこ館や、貴重な養蚕農家見学、世界が注目する「齋栄織物株式会社」の現場に潜入!

前編の記事をチェック

福島を代表するファクトリー「株式会社大三」「福島染工株式会社」を見学し、最終日は「工房おりをり」で養蚕から織物までの工程を実体験!

後編の記事をチェック

 

自然豊かな美しい福島市民家園で触れる「絹の魅力」

福島県の養蚕業は、日本の経済を牽引してきた産業のひとつ。そして現在も、蚕の種作りから織物になるまでの過程を一貫して行っている貴重な地域です(製糸を除く)。「ふくしま絹の道フェスタ in 福島市民家園」は、そんな福島で長年続く「絹の道」の文化を未来へ継承するための活動の一環として開催されました。

 

開催場所は、県内の古民家を移築復元し、当時の様子や生活を再現した「福島市民家園」。天候にも恵まれた当日、現地では「民家園ふれあいまつり」も同時開催され、地元の食材を販売するテント、新そばをいただけるフードブースなど、催しもたくさん。各エリア、終日賑わいを見せていました。

 

敷地内には複数の古民家があり、その一部で一部で本イベント「ふくしま絹の道フェスタ」が催されました。養蚕や織物に関する展示や真綿パフづくりを体験できるワークショップ、トークイベント、買い物や一息つけるカフェ、マルシェなども出店し、いずれのブースも人気を集めていました。飲食ブースには、優良な成分が含まれている蚕沙【さんしゃ(蚕の糞)】を原料に含むクラフトビール「シルクロードエール (リーフ) -エシカル-」の出展も。実はこのビール編集部も気になっていた一品!気になる味は。。スッキリと美味しく、飲みさすさに編集部も感動しました!

 

 

そして、展示ブースには「ふくしまシルクロードの旅」の参加者が、繭毛羽(まゆけば)を使用して制作した作品がお目見え。ツアー当時は蚕や織物について、知らないことばかりと語っていた参加者のみなさんでしたが、出展されたいずれの作品も独創性に溢れ、繭毛羽の性質と繊細さを活かした美しい出来栄えに取材陣もびっくり。

 

当日は、ツアーでもお世話になった「工房おりをり」主宰の鈴木 美佐子さんが司会進行を務め、福島県ハイテクプラザや東北学院高等学校生物部の研究内容や、展示作品についての解説などが発表され、来場者の方々が興味深く耳を傾けていました。

 

また、中庭では「養蚕の現在、過去、未来」をテーマにトークセッションを実施。ゲストに冨田蚕種製造所9代目の冨田 克衛さんをはじめ、養蚕に知見のある方々を迎え、井戸端会議のようなグループトークは、飛び入りの参加者を含め気が付けば20人以上に。皆さんそれぞれが思う「養蚕」についての想いと意見が、終始和やかに飛び交う有意義な時間となりました。

 

ふくしまシルクロードツアー参加者を一部ご紹介

 

山越 純子さん

福島県の県花であるネモトシャクナゲを毛羽で再現して作りました。どんな作品を作ろうかと思って考えていた時に、この花が毛羽と似ているなと思い作品として表現できるかなと思いました。ツアーに参加した際に、繭毛羽は熱を加えると固まることを教えていただいたことを取り入れながら、制作していき、草木染めで色をつけて仕上げています。あと、もうひとつのお題であった福島紬は葉っぱの部分に活かしました。

石井 由夏さん

テーマがシルクということで、どんな作品を作り上げるか着地するまでが難しかったです。制作期間は構想を含めると2週間くらい。いくつか試作品を経て、辿り着いたという感じです。今回、アートのようなモノを作りたかったので、和紙などを用いて柄や風合いを出しつつ仕上げました。展示する場所の背景によって表情が変わるような、そんな作品になったのではと思います。

三浦 耀大さん

私たちがショップで見る完成した状態に近い商品を編み上げたり、仕上げをする工程を多く見学できたのはとても良かったです。店頭ではたくさん並んでいるニットも、こうやって職人さんたちの手で最後は仕上げている様子を見ると、一着一着をより大切に着たいと思いました。(その作業によって着心地が変わってくるので)そして、私も衣服をつくる際は、着る人の着心地などデザインだけでなくディティールにもこだわっていきたいと思います。

八木 恵子さん

素材やシルクを学ぶためにツアーへ参加したんですが、そこで学んだことを活かして今回作った作品は「リース」と「ピンクッション」です。まだモノづくりに関してあまり慣れていないのですが、私はファッションを勉強しているので簡単に作れて、自分でも使うことができる「ピンクッション」を選びました。わけていただいた生地を作品に活かしたり、繭毛羽に羊毛を混ぜて制作するなど、思考を凝らして工夫をしたところもポイントですね。

全三回にわたって、福島県の養蚕、絹、織物にフォーカスした今回。そこから見えてきたものは、歴史ある日本の産業の現在と高い技術。福島県のみならず、技術の継承について問題定義されることが多いというのが実情です。しかし、シルクをはじめ今世界から日本のモノづくりのポテンシャルが見直されて、注目を集めていることも確か。私たちができることは、そのモノの良さを実際に自身の目で見て、まずは知ることかもしれません。ぜひ興味がある方は、福島県へ足を運んでみてはいかがでしょうか。きっとここでしか体験できない、心が震える感動に出会えるはず。

 

 

ふくしまの養蚕や織物文化を伝える
「ふくしま絹の道フェスタ in 福島市民家園」

 

日時 2024年11月4日(月・祝)10:00~15:00

場所 福島市民家園

料金 入場無料

イベント情報(えにしトラベル)ホームページhttps://www.enishi-travel.jp/tour/detail/1599

福島市民家園公式ホームページ https://www.city.fukushima.fukushima.jp/bunka-hogo/shisetsu/bunkashisetsu/004.html

 

内容

(1)養蚕や織物に関する展示

(2)ワークショップ(①蚕種②養蚕③生糸とり④真綿づくり⑤織物)

   ※一部有料ワークショップあり

(3)養蚕や織物文化のトークセッション

(4)着物の着付け体験

(5)マルシェ(福島県絹人繊織物構造改善工業組合、工房おりをりなど)

(6)スタンプラリー

(7)福島大学食農学類「科学サークル エウレカ」によるサイエンスカフェ

(8)福島県ハイテクプラザ・東北学院高等学校生物部 研究発表

                                   など

Ayumi Fukushima

ファッションラバー。バイヤーを経験後、現在はディレクションをはじめ、エディター兼ライターとして広くて活動中。

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