お父さんありがとう!
第43回ベスト・ファーザー イエローリボン賞の授賞式が開催
きたる「父の日」に先立ち、日本を代表する“素敵で優しいお父さん”を称える「第43回 ベスト・ファーザー イエローリボン賞」の授賞式が、6月4日に都内で開催された。同賞の受賞者は、その年最も素敵な父親像を体現する、各界の著名人から選出される。
本年の受賞者は、政治・経済界から3名、文化、芸能、スポーツ界から3名と総勢6名、なんとも豪華な顔ぶれ。授賞式では各人が父親としてのあり方や、子ども、家族、社会との向き合い方、“父親”にまつわるエピソードなどを語った。
目次
■【学術・文化部門】鈴木 おさむ(スタートアップファクトリー ゴーイングメリー 代表)
■【政治・経済部門】飯塚 榮一(サイボー株式会社 代表取締役社長)
■【政治・経済部門】瀧井 傳一(タキイ種苗株式会社 代表取締役会長)
■【政治・経済部門】芳井 敬一(大和ハウス工業株式会社 代表取締役社長 CEO)
【学術・文化部門】鈴木 おさむ(スタートアップファクトリー ゴーイングメリー 代表)
長年、放送作家や脚本家、作家、映画監督としてエンターテイメントの第一線を牽引。放送作家になった19才から32年間、『SMAP×SMAP』『めちゃ×2イケてるッ!』などの数々の人気番組を手がけるも「新しいことを始めたい」と、2024年3月に放送作家、脚本家業からの引退宣言が話題となった鈴木おさむ氏。現在は若き起業家を支援するファンド、「スタートアップファクトリー ゴーイングメリー」を立ち上げ、若者たちをサポートをしていくという。
輝かしい活躍から仕事人間のイメージがある鈴木氏だが、妻であるお笑いトリオ「森三中」の大島美幸氏の2014年の妊活休業や、大島氏を早く職場へ戻してあげるための一年間に及ぶ自身の育休取得などからも、家族愛に溢れる人物だということがわかるだろう。妊活休業を経て、2015年に誕生したのが、現在8歳となる一人息子の「笑福(えふ)」くんだ。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「受賞を聞いた時は、僕より頑張っているお父さんなんて、何万人といる中で僕でいいのかなと思いました。だけれどこの間、32年間続けた仕事をやめた僕が、このような賞をいただけたことは意味があると思いますし、本当にありがたいです。僕も妻も好きなことをして生きてきたから、笑福には自分の好きなことを見つけて、自分の人生を歩んでほしい。そして彼が決めたことは、全力でサポートできる親でありたいと思います。受賞のことを妻に報告してから、ちょっと朝ご飯の時に揉めたりすると『おい、ベストファーザーがそれでいいのか?』と、妻からいじられるようになりました(笑)。でもそれで子どもも笑っているので、いいかなっと思います。父の日は覚えてくれていたら嬉しいですけど、これからも子どもにはあまり多くのことは求めずに、日々の日常を噛み締めていけたらいいですね。」
【芸能部門】石原 良純(俳優・気象予報士)
父に作家で元東京都知事の石原慎太郎氏、叔父に昭和の大スターである石原裕次郎氏をもつ石原良純氏。20歳で俳優デビューを果たし、気象予報士やタレントとして幅広く活躍。現在もテレビで見ない日はないと言っていいほどだ。自身を根っからの「テレビ人」といい、自分が楽しむことで視聴者も楽しめるという石原氏。
その何事も楽しむ姿勢は大切な家族においても同様だ。医師である妻との間に長男と長女を授かり、正月はスキー、夏はお城見学と称して旅行に出かけるなど、家族仲もいいという。そんな石原氏だが、父の石原慎太郎氏は1988年に同賞を受賞しており、今回親子二代での名誉となった。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「父の受賞の時は、選考が間違っていたのでは?父は私に『子育てに興味がなかった』と言ってましたし、私が大学を卒業したかどうかも知らなかったんだから(笑)。しかし父は一人しかいないですし、私にとってはベストファーザーなんでしょうけれど。死に際にいろんなことを教わりました。そんな父ですが、みなさんイメージがないかもしれないけど僕は怒られたことがないんですよ。やはり親子なので等間隔になるというか、似てくるので僕も子どもを怒れないんです。家族仲はよくて、会話を大切にしています。どんな思いも言葉にしないと伝わらないから。みんなが笑って、楽しく会話をしていられたら、それで幸せなんじゃないかな」
【スポーツ部門】内田 篤人(元プロサッカー選手)
サッカー元日本代表であり、元プロサッカー選手の内田篤人氏。2006年に鹿島アントラーズに入団後、ドイツの強豪チームシャルケ04への移籍などを経て2020年に現役を引退。翌年から『報道ステーション』のキャスターを務め、サッカーにおいても指導者を務めるなど、マルチに活躍をしている。
内田氏は、現在7歳、4歳、0歳になる娘たちに恵まれて賑やかな日々を過ごしている。現役時代に子育てを妻に任せっきりだった分、現在は家族との時間を大切にする生活へとシフト。引退後に生まれた三女のお世話を率先して行い、長女を通学路まで送り、次女を幼稚園まで送るという日々だが、まったく苦がなくとにかく楽しいという。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「現役の頃にも色々な賞をいただきましたが、それよりも嬉しいというとあれなので、同じぐらい嬉しいです(笑)。子育てに関しては、現役時代に長女と次女、引退後に三女を授かりました。長女が生まれたのは僕がドイツのチームにいる時で、当時はサッカーを優先していたこともあり、初めて会えたのは生後一ヶ月の頃でした。帰国後、実家のドアを開けた時の”赤ちゃんのにおい”と、妻が長女を抱いて2階から降りてきたシーンは、今でもよく覚えています。そこから3、4日でドイツへ一人で戻らないといけなかったのですが、娘が使っていたガーゼをタッパーに詰めて飛行機に乗りました(笑)。これからもパパとして、夫として、娘たちや妻に立派な姿を見せれるような活動をしていきたいと思います。」
【政治・経済部門】飯塚 榮一(サイボー株式会社 代表取締役社長)
1948年に設立の埼玉県川口市に本社を構えるサイボー株式会社。74年に日本大学生産工学科卒業後、同社へ入社。2003年から取締役、20年に代表取締役専務を歴任し21年に代表取締役社長へ就任した飯塚榮一氏。法人企業向けのユニフォームなどの繊維事業から、「イオンモール川口」などの商業施設賃貸をはじめとする不動産活用事業、カーディーラーまでと多角的な経営を行っている。
飯塚氏は3人の娘を授かっており、今では娘さんそれぞれも結婚し4人の孫に恵まれたという。29歳で結婚し50歳まで営業一筋。三姉妹が幼いときは自宅で夕食を年間で7日しか取れなかったほど仕事に情熱を注いできた。そんな飯塚氏も近年は家族との向き合い方も変わり、今の至福のときは娘たちや孫との時間だそうだ。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「受賞を聞いて、嬉しさと共に戸惑いも覚えています。グッドグランパ賞では?って(笑)。家族に関しては、私が母を早くに亡くしたこともあり、結婚当初から妻と父と同居していました。それもあって、当時はほとんど家にいることはなく、自宅での食事は少ない時で年間7日位しかとれていなかったんです。そんな中、娘3人が今でも懐いてくれているのは、妻が娘たちとの食事の時に、わたしの悪口を一言も言わなかったことが大きいと思っています。妻には本当に感謝しています。私にとって社員も家族であり、同様に大切。全員の顔も知ってますし、性格もわかっていると思う。社員とその家族のためにも、一人一人がうちの会社にいて良かったと思える、ウェルビーイングな環境でなければならないと思っています。」
【政治・経済部門】瀧井 傳一(タキイ種苗株式会社 代表取締役会長)
1971年に玉川大学農学部卒業後、タキイ種苗株式会社に入社。91年から代表取締役社長を務め、2023年に代表取締役会長に就任した。社団法人日本種苗協会の会長も務めた、瀧井傳一氏。同社は父の日に贈られる花として、人気の高いひまわりの切り花や花束向けの品種「サンリッチひまわり」を開発し、今や国内取り扱い数量の60%、欧州では70%以上のシェアを誇る。現在も花や野菜の新品種を開発し販売している。
企業のトップは、社員の父でもあると語る瀧井氏だが人材育成についても「植物も人も通づるところがある」という。コミュニケーションを重んじ、丁寧に接することでいい人材が育つというものだ。家庭に関しては一人息子を授かっているが、ご子息が誕生したのは瀧井氏が社長に就任した91年。当時多忙であった瀧井氏は子どもと過ごす時間が少なかった分、イギリスに留学を希望した息子の背中を押すなどできることは尊重してきたそうだ。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「普段は花を贈る方なので、こうやって今回「サンリッチひまわり」をもらう側になるのはとても嬉しいですね。このように会場を綺麗に飾っていただき、非常に光栄です。仕事が忙しかったので息子と共に過ごす時間は少なかったのですが、彼がイギリスに留学したいと決断した時は妻と話をして送り出しました。家族旅行もあまりできなかったので、大学の卒業式には夫婦で渡英し、3人で写真を撮りました。あまり写真を撮らないので、唯一の家族写真。この一枚は私たち夫婦にとって、大切な宝物です。また、私は社員の父でもあり、会社は大きな家族だと思っています。毎年、社員と社員家族も招待し、交流できる社内レクリエーションの場を設けています。みんなで食事もしますし、喜んでいただけています。」
【政治・経済部門】芳井 敬一(大和ハウス工業株式会社 代表取締役社長 CEO)
1981年に中央大学文学部を卒業後、神戸製鋼グループの神鋼海運(現・神鍋物流)に入社。その後、90年に大和ハウス工業へ入社。2011年から取締役、17年に社長就任し19年からCEOを兼ねている芳井敬一氏。住宅メーカーのパイオニアである同社は住宅事業をはじめとし、生活にまつわる様々な事業を展開し社会課題の解決に尽力している。
家庭では3人の娘に恵まれ、忙しい仕事の傍ら子どもたちの自主性を尊重してきた芳井氏はそれぞれの進路には一切口を出さなかったという。同様に従業員の方々一人一人を家族と考え、暖かく見守る姿勢から、周りからは社風がほんわかとしていると司会者から言わる場面に対しても、「社員が決めることなので・・」と笑顔で謙遜する人格者だ。
授賞式でのスピーチから一部抜粋し紹介する。
「このような賞をいただけて非常に光栄です。自分には娘が3人いますが、僕はこどもたちのファンです。子どもたちと同様に、社員もうちの子だと思っています。そうすることで一人一人の長所に目が向くと考えているからです。娘たちに関してのエピソードとして、自主性を尊重するために習い事などもこちらから何も言わず、自分で習いたいと言ったら『絶対に辞めさせない。』と伝えて習わせていましたね。そんな中、自身が唯一勧めたのは剣道。結果的に、娘たちにとって良い経験になっていると思います。」
2024年「シネマ夢倶楽部」の映画推奨作品
シネマ夢倶楽部では、毎年イエローリボン賞のコンセプトにあわせた推奨作品を選出。2024年の推奨作品3本をご紹介。
『ONE LIFE 奇跡が繋いだ 6000 の命』
彼が救った命が、未来を照らす。
© WILLOW ROAD FILMS LIMITED, BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2023 |
『ONE LIFE 奇跡が繋いだ 6000 の命』オフィシャルサイト
『オールド・フォックス 11歳の選択』
ただ、夢をかなえたかったー
© 2023 BIT PRODUCTION CO., LTD. ALL RIGHT RESERVED |
『アニマル ぼくたちと動物のこと』
僕たちは絶滅するの?
©CAPA Studio, Bright Bright Bright, UGC Images, Orange Studio, France 2 Cinéma – 2021 |
受賞者それぞれ、忙しい中でも自身の形で子どもたちや家族に寄り添うエピソードが印象的であった本年の授賞式。第一線で活躍し続ける彼らからは、父親としても、企業人としても学びのヒントが多くあったと言っても過言ではないだろう。
最後に、同授賞式と一緒に開催された似顔絵・作文コンクールの文部科学大臣賞を受賞した作品を紹介する。
第53回 お父さんへの似顔絵コンクール・お父さんへの作文コンクール
お父さんの似顔絵部門
【文部科学大臣賞】「おとうさんはおかあさん」
田村 美智香(5) 東京都
お父さんへの作文部門
【文部科学大臣賞】「父のぼやき」
野入 桃子(10) 福岡県
※敬称略、受賞者の年齢は作品応募時のもの
黄色いリボンキャンペーンについて
「黄色いリボンキャンペーン」は、1982年、一般社団法人日本メンズファッション協会の活動の一環としてスタートしました。
<FDC 日本ファーザーズ・デイ委員会>を設立し、「父の日」を国民の生活に組み込まれる行事としてクローズアップさせるため『6月の第3日曜日は「父の日」です。お父さんに黄色いリボンを添えて、感謝と応援する気持ちを伝えましょう!』と呼びかけたのが始まりです。
当キャンペーンは本年度で43年目を迎え、全国的なスケールのイベントとして成長してまいりました。43年の年月を経て、時代とともに「お父さん像」は多様に変化しています。いつでも子どもたちの目に映っている「お父さん像=お父さんの生き方」を日本ファーザーズ・デイ委員会は様々な視点から応援し、一般生活者にも、そこから波及する地域社会にも、より広く・深く広がっていくことを願っています。今後も「お父さんありがとう」、「お父さん頑張って!」の声とともに、活動を続けてまいります。
主催:一般社団法人日本メンズファッション協会(MFU)・日本ファーザーズ・デイ委員会(FDC)
MFU理事長 八木原 保
FDC委員長 田中 優一郎