Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/Sが開催
8月28日(月)~9月2日(土)の期間「Rakuten Fashion Week TOKYO(以下 Rakuten FWT)2024 S/S(主催:一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 以下JFWO)が、メイン会場の渋谷ヒカリエを中心に、東京ファッションを代表する各エリアで開催された。
フィジカル発表は35ブランド、デジタル発表は15ブランド。フィジカルのショーの熱気が増し続ける一方で、コロナ禍以降は当たり前となったデジタルショーでのコレクション発表を選ぶブランドも少なくなく、表現の幅と多様的表現を多いに感じることができたRakuten FWT 2024S/S。初参加のブランドは13、さらに海外からは7ブランドが参加となり、残暑厳しい東京の街をファッションのパワーで熱く活気づけた1週間であった。
今回は参加50ブランドのうち、スタイルアリーナ編集部が気になったコレクションをピックアップして紹介。日本やアジアからこそ生まれる、繊細で創造性の宿るブランドの数々を、ぜひ見逃さず注目してほしい。
【オープニングは記念すべきデビューショーの「KANAKO SAKAI」】
初日は「JFW NEXT BRAND AWARD 2024」のグランプリ受賞ブランド「KANAKO SAKAI (カナコ サカイ)」が、デビューショーを盛大に開催。この受賞は、2023 S/Sシーズンにスタートした、JFWOが主催するブランド支援プログラムの一環である。KANAKO SAKAIのファーストショーは、公式会場であるヒカリエで行われ、イベントのオープニングを美しく彩った。
本プログラムは、JFWOが背負うミッション「日本から世界に向けたデザイナーの創出」を通して、今後グローバルにファッション業界で活躍が見込める新しい才能を 育成・支援していくことを主旨としている。
KANAKO SAKAIの今コレクションのテーマは「自由を纏う」。ウィメンズやメンズのカテゴリーに囚われることなく、洋服を着用する人が自由に手に取ってほしいという思いを表現した。テーマの如くコレクションルックは、ジェンダーのボーダーを感じさせないカラーリング、流れるような美しいラインのジャケットやドレス、ディティールはレースにフリンジなどが印象的だ。
デザイナーのサカイカナコはクリーンなカッティングと、独特で多彩な表情を持つ素材選びと色遣いの組み合わせを得意としており、そこに伝統技術を加えることで、新たな解釈を加え現代的にアイテムを再構築する。今季は螺鈿織り(貝殻を使った伝統的な装飾技法「螺鈿」を織物に用いたもの)を用いるなど、素材との出会いを大切にするサカイカナコならではこだわりを感じさせる。ショーは終始美しく洗練され、誰もが「サカイカナコ」の世界観に引き込まれていた。まさにトップバッターにふさわしい記念すべきデビューショーであった。
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©Japan Fashion Week Organization |
【女性の美しさの表現に長ける「FETICO」。今季テーマは“Do Not Disturb”】
「FETICO(フェティコ)」は2020年に創設されたデザイナー舟山 瑛美による、近年大きく注目を集めているブランドだ。ファッション関係者のみならず、ファッションラバーやインフルエンサーからの人気も高い。ブランドコンセプトは「The Figure: Feminine(その姿、女性的)」。FETICOのインスピレーションの源は女性の造形美を強調する古典的なスタイルにある。
今季のテーマは“Do Not Disturb”。直訳すると「邪魔しないで」だが、ホテルのドアノブにかけるフラグによく書いてある「起こさないでください」を意味するワード。どこか自由で女性の内なる強さを想起させる、とてもワクワクするテーマだ。
今季のミューズは、1990年代のシンガーソングライターでどこか挑発的であどけないスタイルの俳優のフェイ・ウォン。そして、デザイナーの船山が3月に訪れたパリで手に取った、フランスの現代美術家ソフィ・カルの「THE HOTEL」だという。これらにヒントを得ながら、FETICOの追い求める「女性の美しさ」を今期も見事に表現した。
©Japan Fashion Week Organization |
【月の夜に似合う「SHINYAKOZUKA」 】
会場は東京体育館の外、月がうかぶ夜に開催された「SHINYAKOZUKA(シンヤコヅカ) のショー、テーマは「WONDERFUL WANDER」だ。デザイナーの小塚 信哉自身が好きな時間であるという、夜の帰り道や夜の散歩から着想を得ている。考え事やアイディアを考えながら歩く夜の道では、偶然出逢う景色が新鮮に映るという。そんな情景を通して、インスパイアされた今コレクションはまさにブランドコンセプトの「‘picturesque scenery’ 絵に描いたような情景」を彷彿とさせていた。
ブランド立ち上げ当初からインスピレーションや考えをドローイングやペインティングで描き、その絵の情景からインスパイアされたコレクションを展開している小塚。今回のショーも彼らしさを感じさせるルックが多くみられた。足元はSalomon(サロモン)などランニングシューズを合わせているあたりも、どこかアクティブなイメージを想起させる。
月夜にエレファントカシマシの音楽が響き渡るSHINYAKOZUKAのショーは、哀愁とエモーショナルな雰囲気に包まれ、思わず「帰り道は遠回りして帰りたい」、そんなチルな心情を抱かせる終始心地よいショーであった。
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©Japan Fashion Week Organization |
【圧巻の規模と世界観に没入「A BATHING APE」】
今回のコレクションでの大きなハイライトのひとつとなった、国立代々木競技場 第二体育館で国内初開催となる 「A BATHING APE®️(ア ベイシング エイプ®)」。メインの同ブランドを筆頭に、サブブランドのAAPE(エー・エイプ)、APEE(エイピー)も2024年春夏コレクションを発表した。BAPE®️のアイコニックな”ABC CAMO”が同会場をジャックし、入場前から大きな期待を感じさせる。今年は、A BATHING APE®️の設立30周年。それを記念し国立代々木競技場第二体育館でショーを開催することが決まったという。
会場に入ると、その規模の大きさに驚かされる。会場中心には巨大な”BAPE®️ HEAD”が描かれ、日本を感じさせる提灯や鳥居のモチーフがセットされ、来場者はショーの開幕を今かと待ち望んでいた。
いざ、ショーが開始すると和太鼓が響き渡り、A BATHING APE®️の今と昔が融合したかのようなルックが観客の目を奪う。近未来感を感じさせながらも、エモーショナルなプロダクトの数々は過去、現在、未来への軌跡を感じさせる。ランウェイにはカンダニエル(KANGDANIEL)、AMIAYA、Akito Mizutani、福士リナら国内外から多くのアーティストやモデルが出演し、30周年の門出を大いに彩っていた。
1993年のブランド設立以来ストリートファッション界を牽引し、今もなお世界的に大きな存在感を放つ、A BATHING APE®️。壮大な演出で観客を引き込んだランウェイは、同ブランドの築き上げてきたレガシーを示すものであり、未来への新しいビジョンを示唆する瞬間であった。
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©Japan Fashion Week Organization |
【大盛況のまま幕を閉じたRFW。目指す未来とは】
2024 S/Sシーズンは「OPEN,FASHION WEEK」のテーマの基、“解放”を意識したシーズン。先シーズン同様にフィジカルでのショーも約7割まで増え、さらに「解放」を感じることが出来るファッションウィークであった。
また、パンデミック以降初となる、一般の方も来場可能なパーティやイベントも多数開催され、「NEXTBRANDAWARD 2024」受賞式&オープニングセレモニーやデザイナー支援、デジタル配信の強化や「ファッションができるSDGs」企画など、多様的であらゆる局面で人と人とが出会い、縁を繋ぐアクションを実施し続ける「Rakuten Fashion Week TOKYO」。
次回「Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 A/W」は2024年3月11日(月)から3月16日(土)。次シーズン以降もさらに活気ある開催と躍動する日本、アジアを代表するブランドの数々に期待し、注目していきたい。
【参加ブランド】
フィジカル発表35ブランド(発表順) ●初参加ブランド
1, KANAKO SAKAI/カナコ サカイ(●)
2, NaNo Art/ナノアット(●)
3, HARUNOBUMURATA/ハルノブムラタ
4, WILDFRÄULEIN/ヴィルドホワイレン(●)
5, KAMIYA/カミヤ(●)
6, FETICO/フェティコ
7, Wilsonkaki /ウィルソンカキ(●) ※HK
8, pays des fees/ペイデフェ
9, EJ SHEYANG/イージェイ シェヤン(●)
10, el conductorH /コンダクター
11, Queen&Jack /クイーン アンド ジャック
12, SHINYAKOZUKAシンヤコヅカ
13, TWEO/トゥー(●)
14, SEVESKIG/セヴシグ
15, (un)decided /アンディサイデッド
16, Global Fashion Collective/グローバル ファッション コレクティブ ※CA
17, MITSURU OKAZAKI /ミツル オカザキ
18, HEōS /へオース
19, BENCH/ PRESENTS TERNOCON /ベンチプレゼンツ テルノコン ※PH
20, MURRAL /ミューラル
21, (X)S.M.L /エックスエスエムエル ※ID
22, HIDESIGN /ハイドサイン
23, Seivson /セイヴソン ※TW
24, SHOOP/シュープ
25, A BATHING APE®/ア ベイシング エイプ® (●)
26, PH MODE x TYO by MFF (Manila Fashion Festival)/ピーエッチ モード トーキョー バイ エムエフエフ ※PH
27, IRENSENSE/アイレンセンス(●) ※TW
28, support surface/サポートサーフェス
29, meanswhile /ミーンズワイル
30, CINOH /チノ
31, SEVEN BY SEVEN/セブン バイ セブン(●)
32, ablankpage. X Royal Thai Embassy Tokyo/ AS YEARS GOES BYS. “ablankpage. X EDWIN X NISHIKAWA KEORI”/アブランクページ x ロイ ヤル タイ エンバシー トウキョウ / アズ イヤーズ ゴーズ バイズ アブラン クページ x エドウィン x ニシカワケオリ
33, YOHEI OHNO/ヨウヘイ オオノ
34, 1PIU1UGUALE3 GOLF/ウノ ピゥ ウノ ウグァーレ トレ ゴルフ
35, VIVIANO/ヴィヴィアーノ
デジタル発表15ブランド(発表順) ●初参加ブランド
1, 08sircus/08サーカス
2, RAINMAKER/レインメーカー
3, IRENISA/イレニサ
4, MAISON ALTERNATIVE/メゾンオルタナティブ
5, WIZZARD/ウィザード(●)
6, HIROKO KOSHINO/ヒロココシノ
7, meagratia/メアグラーティア
8, HOLO MARKET/ホロマーケット
9, LIBERE/リベーレ(●)
10, STOF/ストフ
11, HYKE/ハイク
12, tactor/タクター(●)
13, mintdesigns/ミントデザインズ
14, 六舞宴|ROKUBUEN/ロクブエン
15, DRESSEDUNDRESSED/ドレスドアンドレスド