2019.10.17
小西麗のあれが好き ~ファー~
- Category LIFESTYLE
もこもこしたものが大好きだ。自宅のクッションも、鏡の前に敷いたラグも、座布団も、お気に入りの椅子に流すようにしているのも、毛足の長さは違えど全部ムートンだ。来る人たちに「意外だね」と言われるほど、わたしの部屋はラブリーな雰囲気があるのだけど、その一端はもこもこにあると思われる。ある冬、とりつかれたようにピンクのもこもこをネットショッピングしていた。もしかしたら寂しかったのかも? もこもこは、心の隙まで埋めてくれる。猫は飼えないけど、ムートンなら家におけるのだ。
もこもこが好きなのは、インテリアに限らない。またある冬、しろくまのようなコートを購入した。大きくて、クローゼットの中で本当にかさばる困ったやつなのだけど、いいのだ。可愛いから。この白いコートに身を包むと、わたしはなんだか「可愛い生き物」になったように錯覚する。
可愛い女の子ではない、あくまで生き物だ。そう信じ込むことで、ごったがえすメトロで苛つきそうな日も心穏やかでいられる。だって今日のわたしはしろいもこもこなのだから……。可愛い生き物は電車で押されたくらいでイライラしたりしないのだ。
短い季節しか履けないかも、と思っていたビルケンシュトックのファーサンダルは、以外にも真夏以外は生活に馴染んでいる。ポリエステルのファーとは違い、ムートンは吸湿・放湿性があるので快適なのだ。なにより可愛い。もこもこは可愛い。
まだ秋の風なのに、ファーの話は気が早いかもしれない。でも、もこもことできるだけ長く外の空気と歩くには、気は早いに越したことはない。季節っていうのは先取れば先取るほどオシャレなもの。とりあえず、足元とハンドバッグから、もこもこを始めたいと思う。
モデル・ライター
Urara Konishi
ファッションモデルを経て、編集・ライター。三度の飯とブロマンスが好き。趣味はシール集めと模様替え。共著に『何処に行っても犬に吠えられる〈ゼロ〉』(百万年書房)、モデルから企画・編集を手がけたZINE『溶けかけのアイスクリームロマンス』。コンタクトはSNSアカウント記載のメールアドレス、もしくはアトリエMIRAIへ⇩