2019.10.01
繊維産業の川上から見えたこと | ベンベルグ®ラボ第4講
- Category culture
世界で唯一 ベンベルグ®糸の生産工程を視察
日本各地の<ベンベルグ>産地を巡り、さまざまな製造工程を見学する選択の産地遠征が第4講からスタートしました。今回訪れたのは旭化成株式会社発祥の地であり、<ベンベルグ>の生産拠点でもある宮崎県延岡市。座学では得られない多くの知識を、この見学を通して学んでいきます。
羽田空港から飛行機と電車を乗り継ぎ延岡駅に到着。大きな紅白煙突が目印の「ベンベルグ工場」へ向かいます。 管理室・前原さんより「原液工程」や「紡糸工程」の基礎説明を受け、質疑応答後、いよいよ施設内へと進みます。
今回見学させていただいたのは通常の一般見学コースとは異なる、<ベンベルグ>ラボでしか見ることができない特別コース。一般には見学できない「コットンリンター倉庫」や「BF製造工程工場」を見学させていただきました。
工場見学の次に訪れたのは愛宕山です。山頂の展望台からあらためて延岡の豊かな自然を味わいました。この日の最後に工場の方々との懇親会をおこないました。工場の方々とお話をすることで、肌で感じることができ、さらに<ベンベルグ>の理解が深まりました。
ワークショップにおきた化学反応
2日目は「向陽倶楽部・旭化成延岡展示センター」で、今日に至る旭化成株式会社の歩みや延岡市と工場の関わりをムービーで紹介していただきました。また、旭化成グループが生産する多くの製品を学びました。
見学後にはワークショップを開催。受講生を2班に分けてベンベルグ工場で学んだことや、気づいた点、疑問に思ったことをまとめ、発表しました。
A班は今回の見学で印象に残ったことや、懇談会で工場の方との会話から得た学びを紹介。
- ベンベルグ事業はアンモニアの多目的利用がもとになってスタートした。
- ベンベルグの原料となるコットンリンターと、レーヨンの原料のパルプの性質の違い。
- 同じ長繊維でも連続式と NP 式の特長の違い。
など
一方、B班はオーガニック製品を生産するうえでの矛盾点や労働環境について意見を交換しました。
- オーガニックコットンの産地では、子供が綿花を摘むなどの労働を課せられている。
- 日本と海外でサステナブルに対する考え方に大きな隔たりがあるのではないか。
- ベンベルグ工場内の暑さ対策や労働環境について感じたこと。
など
互いにちがう視点から今回の見学を捉えているところも面白く、とても意義のあるワークショップでした。また、率直な意見を寄せる受講生のまっすぐな姿勢に、返答に困る疑問にも真摯に向き合っていただきました。なかなか見ることのできない繊維産業のサプライチェーンの一部を見学すると、良いところもあれば悪いところもあると実感しました。今後考え続けなくてはならない、大きな議題をいただいた産地遠征となりました。
関係者の感想
講義を終え、受講生や関係者の方々に感想を伺いました。
<産地の学校主宰 宮浦さん>
“見たい人だけ参加すればいい”そんな思いから、今回視察する産地はメンバー自身の選択制にしました。その結果、だれひとり受け身にならず、前のめりに学んでいましたね。関係者への質問も止まりませんでした。そんな彼らの姿に、このプログラムをおこなう意味を感じることができて感動しました。
<旭化成繊維マーケティング室室長 近野さん>
受講生の皆さんが<ベンベルグ>について楽しく学んでいるという手応えを感じています。ワークショップでは難かしい問題提起もありましたが、そこに正解はありません。むしろ議論することは良いことであって、一個人の意見として語らせていただきました。良いところもあればと悪いところもある。そこに気づいてくれたことに嬉しさを感じました。
<受講生の声>
繊維産業のサプライチェーンはなかなか見ることができないので、そこを見ることができてとてもよかったです。また、繊維を作る工程で人の手と機械がどう結びつくのかを理解することができました。(高橋さん/大学生)
ベンベルグ®ラボについて
繊維・アパレル産業に携わる人材の発掘と育成、産地が抱える課題の明確化やプロジェクト支援など、繊維産業の活性化に向けて様々な取り組みを行なっている「産地の学校」。その主宰を務める(株) 糸編・代表の宮浦晋哉氏の活動に感銘を受け、2017 年に旭化成(株)が産地の学校と共同で産学連携プロジェクト<ベンベルグ>ラボを立ち上げました。
産地の学校 http://sanchinogacco.com/
旭化成株式会社 キュプラ ベンベルグ® https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/
※ベンベルグ®は旭化成の再生セルロース繊維・キュプラのブランドです。
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